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異性愛配偶者は無視されたマイノリティ

公式の統計では、全米のいわゆる「異性愛」カップルのうち、約200万人に上る夫や妻が、ゲイ(ゲイ・レズビアン・バイセクシュアルの総称)だと自認しています(トランスジェンダーについては記録なし)。当然ながら、異性愛配偶者は、連れ合いのカミングアウトに直面して激しく動揺します。知人は大方異性愛者だから、変な目で見られると心配する人もいるでしょう。家族や友人やカウンセラーや医師に悩みを話しても、理解してもらえなかった場合もあるでしょう。

確かに、異性愛配偶者が悩みを打ち明けても大抵聞いてもらえず、相談できる人がないのが現状です。ゲイである連れ合いは、支援団体から支えられ、カミングアウトを祝福されるというのに、異性愛配偶者の方はひとりで苦闘しなければなりません。たまたま同じ境遇の人を見つけると、苦しんでいるのは自分だけではないとほっとします。悩みを真剣に受け止めて、適切な助言をしてくれる人に出会った時に初めて、自分の殻から出られるのです。

支えてもらえれば、異性愛配偶者はより前向きな態度で問題を解決します。すると良い連鎖反応が起こって、動揺していた家族も皆、後に続いて前向きになるものです。周囲の理解を得て立ち直った配偶者は、今度は偏見をなくすべく、他の人々に働きかけるようになります。

親がカミングアウトすると、その子供も、親の性指向や性自認が明らかにされるにつれて、少しずつ学びながら体験を共にします。子どもはおおむね、異性愛者の親の反応を真似るものです。周りの支え(特に親と友人の支え)が必要なのは言うまでもありません。

1981年以来、PFLAGは、連れ合いにカムアウトされた経験を持つ、異性愛配偶者を支えて来ました。多様な性を受け入れる、健全で公正な社会を作る上に、これは大切な仕事だと認識しているからです。試行錯誤し、努力を重ねた結果、PFLAGは、異性愛配偶者が必要としている支えは何か、十分に理解できるようになりました。

この冊子は、異性愛配偶者が直面する主な問題を挙げています。内容は、4,500人に上る異性愛配偶者、ゲイ配偶者、その子どもたちが自発的に述べてくれた証言を基にしました。証言を集めたのは:Amity Pierce Buxton, Ph.D., Director of the Straight Spouse Network (異性愛配偶者ネットワーク:前身はPFLAG Task Forceの一活動)。当該問題に関する調査結果や論文も参考にしています。

異性愛配偶者の状況と問題を理解すると、大きな収穫があります。まず、異性愛配偶者は自分の感じていることが異常ではないと確信できる。家族がより効果的に支えの手を差し伸べられる。ゲイやトランスジェンダー配偶者が、異性愛配偶者の感じ方を知ることによって理解を深め、支えることができます。