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なぜもっと早く話してくれなかったのか?

我が子が長い間悩んできたことに気づいてやれなかった事実を知る事は非常に辛い事かもしれません。話してくれなかった、それは自分を信頼していなかったからなのではないか、自分の愛情が足りなかったせいではないのかと感じてしまう事もあるでしょう。何でも分っていると思っていた我が子の事を理解出来ずにいた事、彼ら自身の人生から締め出されてしまっていたという現実と向き合う時心が痛むでしょう。

しかし、これもまた異性愛者、同性愛者どちらの子どもを持っていたとしても親が感じる事の一つであるといえます。子どもが大人になる時、親子の間には距離が必要となる時期があります。あなたへ相談を全くせず、自らの道を進む子どもも中にはいるでしょう。

しかも、こういった場合さらに状況はより深刻です。子ども達が親にカムアウトする事を決める時、それは大抵予測もしないところでいきなりやってくるものだからです。

同性愛者達は往々にして彼らがそうであるという事実を親から隠そうとしがちです。それは彼ら自身がその事実と向き合うため、自分自身を理解する為に長い時間が必要だからなのです。ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルの若者達というのは大抵早い時期から自分の「違い」を感じており、それが一体何であるかを分るまでに何年もかかる場合もあるのです。

それは私達の生きているこの社会が同性愛に対して間違った認識を持っており、同性愛者達が怖いものであるという認識をもっている為でもあります。そのため、しばし同性愛者達は自らの性的指向について自分の内面で自己否定や不安感と戦っているのです。ですから中には当然親にその事実を打ち明けられるようになるまで随分と時間が必要な場合もあるのです。親心としては、何でも話して欲しかったと思うかも知れませ んが、忘れてはならない事実として、この現実社会の同性愛への扱いとは「聞かず、語らず」であるというところです。

ですから、親として我 が子の辛い時期に助けとなれなかった事を悔やむよりも、もっと早く話してくれていれば結果は違うものであったかもしれないと考えるよりも、彼らが早い時期 においてそういった行動に出られなかったという事を認識してください。一番大切なこと、それは今我が子が心を開いてくれたのだという事実なのですから。