NPO法人LGBTの家族と友人をつなぐ会のトップページへ戻る

「トランスジェンダー・ホルモン療法」とは?

「MtFトランス女性」には女性ホルモンのエストロゲンの投与、「FtMトランス男性」には男性ホルモンのテストステロンを投与し、性自認に見合った二次性徴の発達を助けることです。

あるトランスにとっては、この第二次性徴で体が変わることが解決となりますが、他のトランスは、ホルモンによる気分の揺れと体の変化について行けず、苦痛を味わっています。年齢その他の要因によって違いますが、外見が一応整うまで、短くて数か月、長くて何年もホルモン療法が続くことがあります。危険が常に伴うので、医師の指導なしに実行するべきではないのですが、現状では、トランスの多くが、友人やネットを通して、あるいは、街中でホルモン剤を手に入れ自分で投与しています。

「FtMトランス男性」は、比較的短時間で男性的な外見を作ることができます。テストステロンの投与で声は低くなり、体毛は濃くなりますが、身長はあまり伸びません。

一方、「MtFトランス女性」は、外見を女性らしくするのに時間がかかります。エストロゲンを服用しても声は高くできないし、体毛も除去できないからです(体毛除去は電気やレイザー治療)。一旦外見が整えば、大多数はトランスであることを秘密にします。これはよく「ステルス」*と呼ばれます。

学童や思春期の子どもには、別のホルモン療法がありますが、米国ではまだ普及していません。これは、生物学的性別に伴う第二次性徴の発達を止めるために、「第二次性徴遮断薬」*を投与するものです。

この療法の利点は、子どもが成長後に性自認を考え直した時、投与を止めて、生物学的性別の第二次性徴を再開できるので、成人した多くのトランスが経験する苦痛を免れることです。更に、十代のトランスにとって、ある期間、性自認に合った生活を試すことができるのも利点です。

ただし、この治療は年齢が低い子どもに限られるので、カウンセラーと医師による的確な診断と、両者の連携はもちろんのこと、親子の同意を得て初めて治療が行われるべきです。治療の過程では、小児内分泌専門の医師の指導が必要ですが、今のところ、米国でこの治療と指導を行うのは、ほんの一握りの専門医に過ぎません。

 

「ステルス」(living in stealth)

ホルモン療法や手術などで、性自認に見合うよう外見を整えた後、トランスであることを秘密すること。

「第二次性徴遮断薬」(Puberty Blockers)