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「トランス」の子どもが直面する危険

トランスの子どもや大人は、カムアウトしてから新しい性別で通すために精一杯努力しますが、やはり限界があります。ホルモン療法で外見を整えるのに何年もかかるし(特にMtFトランス女性)、新しい性別で通用していると言い難い人もいます。

そのため、ジェンダー移行期にあるトランスは人目を惹き、差別や暴力に曝される危険があります。トランスの子どもは特に、学校で嫌がらせや暴力に遭う危険が大きく、同級生からだけでなく、狭量な教師や学校関係者から差別を受けがちです。その結果、多くのトランスが、敵意や無神経な言動から逃れるために学校をやめてしまいます。

トランスの子どもは大体、本当の性自認こそ、生き伸びるために必要だと思っています。だからこそ、親が性自認を否定したり、家族や友だちが助けてくれなかったりすると、理解のない家族を持つゲイや、レズビアンと同じ危険に直面します。

つまり、家出して路上生活をする、受け入れられない寂しさの余り、アルコールや麻薬に溺れたりするなど。若い世代のゲイやレズビアンと同じく、トランスの子どもは自殺の危険率が高いと言われます。

就職時に差別され、教育も満足に受けていないMtFトランスの子どもは、ホームレスや家出、もしくは家を追い出され、生きるために性産業に就く子もいます。稼いだお金を、ホルモン剤や電気治療や整形手術代、性別再適合手術代に充てるのです。

この子どもたちは当然、HIV/AIDSや、その他の性病に罹る確率が高くなるので、適切な検査や治療が施せる、理解ある医療専門家の助けが必要です。FtMトランスの子どもも生きるために、人を騙して金品を撒き上げたり、性産業に就いたりすることがあります。

路上の売人やネットでホルモン剤を買って、自分で投与し、深刻な合併症を起こすのはよくあるケースです。トランスのホルモン療法は、経験ある医師の指導が必要です。MtFトランスの子どもの中には、ホルモン療法を受けずに、シリコン注射(インプラントではなく)で短い期間で体を変えようとする人がいますが、注射は深刻な健康被害を引き起こし、時には死に至ることが証明されています。