NPO法人LGBTの家族と友人をつなぐ会のトップページへ戻る

結婚生活の危機と破綻

「私たちは何者なのだろうという混乱、これから先どうなるのかという不安を抱えたまま、7年間、何とか結婚生活を続けて来ました」バーバラ:夫がバイセクシュアル

異性愛配偶者も、LGBT配偶者と同じく、結婚が続くものか、そしてもし続くなら、どの程度妥協しなければならないかと考えます。即離婚を選んだゲイと異性愛者の夫婦もいます。原因は、異性愛配偶者の怒りが収まらなかったとか、一婦一夫制を望んだなど。ゲイ配偶者が、自分の性指向に正直に生きたい、同性愛の相手を探したいといって離婚を望む場合もあります。

カミングアウト以前に夫婦の間で軋轢があった場合も、大方離婚に至ります。決定的な資料はありませんが、多数の体験談から推察すると、レズビアンである妻は、ゲイ男性やバイセクシュアル男女と比べて、カミングアウト後、より迅速に離婚に至るようです。

ある夫婦は離婚を決める前に、性愛、性自認、一夫一婦制、貞節、新しい結婚形態などを模索し、考えを整理しようとします。他の夫婦は、長い結婚生活で育てて来た愛情と歴史、友情、子どもたちの希望などの理由から、修正した結婚生活を続けようとします。少数ですが、心情的に別れられないとか、あるいは宗教的・経済的な理由で結婚を続ける夫婦もいます。

このような夫婦は、新しく始めた疑似結婚生活の中で、様々な困難に出遭います。なぜなら、それぞれの性的、情緒的な要求を満たせない生活ですし、伝統に反する生活形態は、家族や教会や隣人からの攻撃に曝されるからです。時間をかけて話し合いを重ね、妥協と支え合いが生まれると、一夫一婦制でも、その他の一風変わった生活スタイルでも、結婚生活が続くケースもあります。これはバイセクシュアルと異性愛者の夫婦に多く見られます。

トランスジェンダーと異性愛者の夫婦については、調査がほとんどありません。配偶者が外見を変えたことで、結婚生活の破綻が決定的になり、早急に離婚に至る夫婦がありますが、そのまま結婚生活を続ける夫婦もいます。トランスジェンダー配偶者は、手術を受けるか否かに拘わらず、性転換の過程では、異性愛配偶者から離婚を要求されることはありません。従って、彼らは、異性愛配偶者に、自分の性転換を受け入れて、結婚生活を続けてくれるよう真剣に望むのです。この場合、異性愛配偶者が直面する難題は、連れ合いの、次第に変化する性役割や容姿に慣れるかというものです。

「『異性愛配偶者』であってもすぐ離婚するとは限りません。自分にとって何が一番大切なのか、どれくらい妥協できるか、結婚生活においてどれだけ互いが必要なのかよく考えて決めるのです」ミリアム:M-F(男性から女性に転換)の妻