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現実を直視して

「私が描いていた『幸せな家族』という夢は粉々に砕け、それをどうすることもできませんでした」グラント:妻がレズビアン

連れ合いのカミングアウト後、最初の一年間、多くの異性愛配偶者は次第に、カミングアウトが、夫婦や結婚生活や家族生活にどんな影響を与えたか気が付き始めます。最初の衝撃が薄れると、今度は、連れ合いの性指向や性自認、自分の痛み、そして結婚生活がどう変わったか、正面から向き合い始めるのです。

カミングアウトで受けた衝撃を自覚するにつれて、異性愛配偶者は鬱に陥ったり、疾病や衰弱を患ったりすることもあります。多くは、自分がショックを受けたことを認めると、心と体と精神の治療に自ら努力し始めます。しばしば専門家の助けを借りて。

一方で、カミングアウト後の現実を直視しない異性愛配偶者は、長期間、怒りや鬱や疾病に度々襲われて、煉獄から抜けられないものです。

同性愛やバイセクシュアルについての知識を得たり、トランスジェンダーとは何か学んだりすると、連れ合いが今後、異性愛者に戻ったり、元の性自認に戻ったりすることはあり得ないとわかります。連れ合いがバイセクシュアルの場合は、より複雑な状況に置かれるでしょう。なぜなら連れ合いは、同性に魅かれるだけでなく、これまでと同じように、異性である貴方にも魅力を感じているかも知れないからです。連れ合いがトランスジェンダーなら、ある期間、行動や容姿が変わって行くのを目撃するでしょう。変化が急激でなく、長期に亘って少しずつ、体や心理や感情面で進行して行く場合もあります。

異性愛配偶者にとって一番辛いのは、日々、生活の中で変化に直面しなければならないことでしょう。これまで慣れ親しんで来た連れ合いが変わって行くのです。例えば二人の生活が、伴侶としての役割が、そして大多数にとっては結婚生活そのものが変わるのです。今まで当てにしていた安心装置の多くが失われると、大半の異性愛配偶者は怒り、将来に不安を感じます。特に単親になる人はそうでしょう。