NPO法人LGBTの家族と友人をつなぐ会のトップページへ戻る

性愛と性自認の理解

「パパがカミングアウトした時?そんなに悪いことだと思わなかった。ただみんなと違うだけ。パパは前と変わらないよ」マーク:11歳。父親がゲイ。

親がゲイやトランスジェンダーだという新しい事実について、子どもの理解の度合いは年齢によって違います。事実を伝えられることは、子どもにしてみれば、これから辿る長い道のりのほんの出発点に過ぎません。親のカミングアウトが自分の生活にどんな意味を持つのか、経験しながら、時間をかけて子どもは理解します。

幼い子どもは、次のように簡単に伝えれば理解します。「ママとパパは今でも愛し合っているし、君のこともとても愛しているよ。ただ、ママ(パパ)は、愛している人がもうひとりいるってこと」。

トランスジェンダーの親を持つ子どもは、こう伝えるとわかります。「パパ(ママ)は姿が変わるけれど、これからもずっと今までと同じパパ(ママ)で君を愛しているからね」。

学童期の子どもは、もう少しこみいった状況、例えば親が同性を好きだということを理解します。ただし、まだ性愛とか性自認について完全にわかるのは無理でしょう。思春期になると、かなり複雑な概念を把握できるようになるので、情報が必要になります。幼い子どもには両親の愛情を確かめさせて安心させるだけで十分ですが、思春期の子どもには更に、同性愛やバイセクシュアルやトランスジェンダーなどについて、より詳しい情報を与えるのがベストです。

どの年齢でも、自分と違う種類の人間(特にゲイ)に対して、先入観や偏見を持っていた場合、親のカミングアウトという現実をなかなか受け入れられないでしょう。それでも、正確な情報や知識を得る機会に恵まれたり、異性愛者の親が受容している態度を見たりすれば、偏見から解放されるものです。

思春期の子どもは、自分自身が性自認に向き合い、性役割を模索している最中です。従って、親のカミングアウトがいつであれ、子どもは自身の花開きかけた性愛や、性自認や人生の目標について考え込むことがあるでしょう。

子どもは、性愛や性自認に関する微妙で複雑な事柄について、自由に話せる雰囲気を好みます。親は、質問を促しながら、HIV/AIDSや安全な性交について、子どもとあけっぴろげに話し合って下さい。多くの親は、結婚前に必ず自分の性指向を確認するようにと、思春期の子どもや成人した子どもに伝えています。

両親から独立して、既に自分の価値観を確立した年嵩の子どもは、親のカミングアウトにあまりショックを受けないかも知れません。反応もいろいろです。親の新しい性指向やジェンダー転換を尊重する、道徳的/宗教的基準から親を裁く、異性愛者の親の方に感情移入する、両親の離婚に怒りを感じる、両親(または少なくとも親のひとり)が幸福なら良しとする者ありで様々。それでも、適切な情報と支えが得られれば、ほとんどの子どもは、ゲイやトランスジェンダーの親を今までどおり愛するものです。

年嵩の子どもは、自分の体験を使って、ゲイやトランスジェンダーの親を持つ他の子どもを助けようとします。支援グループとして、Children of lesbian & Gays Everywhere (COLAGE:ゲイ・レズビアンの親を持つ全子ども連) がありますし、また、地元のグループで活動を始める子どももいます。

「大人になってから、悪夢のような親権争いに発展した家族の話を聞きました。その時初めて、父のカミングアウトを、母がいかに適切に受け止めて処理したかわかって心から感謝しました」アビゲイル:父親がゲイ