

はじめて、飯田橋、東京ボランティアセンターで交流会を開きます。
今回は、「親子は生きづらい」の著者勝又栄政さんのインタビュー動画を観ながら、参加者の皆さんと意見交換をしたいと思います。
著書「親子は生きづらい」は、トランスジェンダー男性である勝又さんの生きづらさと、それをカミングアウトした時反発した親が、対話を重ねていくうちに少しづつ思いが変わり和解に至った経緯が描かれているライフヒストリーです。親御さんの変化していく心情も切々と描かれており、お子さんを受け入れられず葛藤に苦しんでいる親御さんには読み応えのある1冊です。
LGBTQ+のお子さんを抱えるご家族や当事者、ご友人も、LGBTQ+に関心のある方、学びたい方、どなたでも参加できます。
先輩保護者はどう対処してきたのか、同じ境遇の親たちはどう乗り越えようとしているのか、他者の話を聴くことで見えてくる世界があります。差別の中で苦しんでいる方、カミングアウトを受け困惑されている方、情報が欲しい方、対話の中で答を見つけましょう。
▶日 時 2024年12月1日(日) 13:30~16:00
▶会 場 東京ボランティア市民活動センター会議室C 東京都新宿区神楽河岸(かぐらがし)1-1 飯田橋セントラルプラザ10階
▶定 員 15名(参加希望の方はあらかじめお申込み下さい。仮名可)
▶参加費 500円
▶申込先 mail/tokyo@lgbt-family.or.jp tel/090-9876-2423(水・土・日対応、つながらない時はsmsで)
🍀会場へのお問い合わせはご遠慮ください。
【終了しました】
12月1日(日)今年最後の交流会は、親御さん6名、当事者3名、Ally1名の参加でした。
NHK仙台放送局制作の地域情報番組『東北ココから』で放映された勝又栄政さんからお母さまへのカミングアウト、その後の対話による和解をテーマにした映像を参加者皆さんと観賞し、その後、それぞれの子どもとの関係、思いを語り合いました。
つなぐ会にご連絡くださる方は、当事者は30代以上、親御さんは50代以上の方が多いです。関東地域にはユース向けの支援団体が多く、家族の交流会に参加しても若い世代の理解、受容ができている親たちに気後れして参加しづらいという年上世代の親御さんの声も聴きます。今回はそのような葛藤を抱えている親御さん向けの交流会となりました。
勝又さんはトランス男性です。幼い頃より性別の違和感を抱えていましたが、成育環境的にそれを主張できず、悶々としながら子ども時代を過ごしました。思春期を過ぎ、大学生になりついに忍耐の限界を超えてカミングアウト。
友人たちは好意的に受け止めてくれましたが難関は家族でした。とりわけ母親の拒絶は強烈で、カミングアウトは罵倒の応酬となります。たいていの場合、ここで子どもは断念し親子ともども距離を置く、親元を離れることもあります。ところが勝又さんは諦めない。何とかわかってもらいたいとの思いで対話を続けます。そして10年、和解に至るのです。その間のそれぞれの心境が映像に映されていました。性別違和で他人とは違う自分を「罪人」と感じる子ども、手塩にかけて育ててきた自負と子どもの幸せを願う思いが強すぎる母親の心情はちぐはぐで、最初は全くかみ合わない、それが勝又さんのどうしてもわかってほしいという熱情と母の子どもへの愛情が、対話を重ねるごとに少しづつ縮まっていったのであろうことが、お二人の言葉から感じられました。
けれども、ふたりの言葉はそれぞれに苦い。映像からずんずんと伝わってくる重たさ。カミングアウトとは、それくらい各人に重くのしかかってくるものでしょう。
今回参加の親御さんも、それぞれに子どもの将来に不安を覚えていらっしゃるのでしょう。母親のカミングアウト最初の拒絶の言葉が身に染みたのではないでしょうか。この映像の中で語られる言葉、少しづつ変化していく親の言葉の数々が、自分たちのシチュエーションと重ね合わせながら重く響いていたのではないかと、その表情から感じられました。
子ども側の感想からは、子どもを慈しみ育ててきた親には感謝してるし、カミングアウトを受け入れ難い気持ちもわかるけれども、セクシャリティが他人とは違うことで子どもは苦しむ。子どもの将来に期待して育ててきたとは思うが、親の思惑は差し引いて、子どもの生きづらさを見つめてほしい、と。この言葉は親にはつらい。けれども、子どもの人権尊重を第一に考えたい。
最初から、子どもを別個の存在として育てている親ならばできるかもしれません。けれども、情で繋がる親子関係では結構難しい。ふと、2月の映画上映会で見た中国映画「カミングアウト」を思い出してしまいました。愛すればこそお互いにお互いの幸せを願う。でも親の願う幸せは自分の幸せではない。親の願いをかなえるために子どもは自分を偽ることはできないのです。
LGBTQ+のカミングアウト率は未だに低く、家族へのカミングアウトは更に下回ります。そういう状況下でカミングアウトされた家族というのは、子どもからの信頼の証といえるかもしれません。このせっかくの機会を生かすも殺すも親次第。まずは親側の不安を払拭し精神状態を安定させること。その為にも語り合う仲間、ポジティブ情報のシャワーが肝心です。
私自身、SOGI知識皆無状態からのスタートでした。それが定期的につなぐ会に通い、様々なセクシュアリティの方々、同じ境遇の家族と交流する中で視野が広がり、我が子ともたくさん話し合うことで世界が拡がっていったように思います。たとえ子どもが生きづらさゆえに引きこもってしまったとしても、親はクローズせず、たくさんの出会いを重ねてほしい。今、葛藤の中にいるとしても、先に乗り越えていった家族が応援しています。LGBTQ+の子どもも親も孤軍奮闘するのではなく、みんなで輪になって未来を創っていきましょう。 M