娘が大学2年生の時、突然「私は男なんや」とカミングアウトしました。翌朝、2冊の本を私に渡し、「ひとつは別に読まなくてもいいけど、こっちの本は読んでおいてな」と話し、大学へ出掛けていきました。私は何年か前からどこからか「性同一性障害」という言葉が耳に入ってくるにつれ、幼い頃からの自分の子を見ていて、ひょっとしたらそうかもしれないと感じていたので、ある日突然カミングアウトされ「謎が解けた!」と納得しました。が、その先は何があるのか、何か怖い物があるのか不安でした。
息子が置いていったその本を、最初は他人事の様に見つめていましたが、手にとって読んでみると、遠い所にある出来事かと思っていたのがそうではない。自分の身近でごく当たり前の事であると理解していけました。その本を読み終えると、気分良く明るい気持ちになれたのを覚えています。
その本の名前は「カミングアウトレターズ」です。その本が「LGBTの家族と友人をつなぐ会」に出会ったきっかけです。
翌月から早速、つなぐ会に参加しそれから1年半程経ちます。参加する回数を重ねていく内に自分がわからなかった事は何なのか、何に不安を抱いていたのかが分かるようになり、少しずつ自分に自信が持てるようになりました。
つなぐ会でいろんな当事者や家族と知り合えることが出来、同じ話しができる喜びを味わいました。ゲストの方の講演を聞き知識を得たり、いろんな当事者の方から悩みや体験談を聞く事が出来ました。
それは決して特別なことではなく自然なことなのだと理解することができました。
今思えば、カミングアウトされた当初は、知らない事がたくさんあるようで怖かったのです。私自身の中に間違った知識や植えつけられた偏見があったから怖かったのだと思います。
そのことに気付かせてくれた「つなぐ会」の存在に感謝しています。
ユキヒロの母(京都)